狩撫麻礼原作80年代ハードボイルド漫画の名作、ライブマシーンを読んでみた感想

狩撫麻礼氏原作の80年代ハードボイルド漫画の金字塔「ライブマシーン」レビュー

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圧倒的スピードで読み終えた全2巻。やはり・・・と言うべきか。

1980年代から2010年代まで活躍した狩撫麻礼(かりぶまれい)氏原作漫画はことごとく期待を裏切らないことが判明した。

狩撫麻礼といえば、「終わった青春、終わらない青春、続けるかは自分次第」的なストーリーの「ボーダー」が圧倒的に有名。その時の作画は軍鶏の作者でもあるたなか亜希夫である。

というわけでこの記事では、「80年代ハードボイルド漫画」の金字塔、ライブマシーン全2巻の感想と絶対読むべき理由を簡単にまとめる。

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80年代ハードボイルド漫画ライブマシーンを読んだ感想。

この作品、1本の映画である。

近頃の漫画は簡単に実写映画化してしまい、その流れに飽き飽きしているが、この作品に関しては今後もそっとしておいてほしい。それくらい完成されているし、主人公有山のアジトを実写にすることは不可能だろう・・・。

 

ストーリーは「凄腕の傭兵としてアフリカ戦線で活躍した主人公有山(自称「ライブマシーン」)の過去のシーンから始まる。

傭兵引退後、なぜかジャズピアノが超絶弾けてジャズバーで活躍。その後不思議な預言者に出会い、再び殺しの現場へ・・・もちろん美女登場・・・」ってな具合である。

 

ハードボイルドテイストなので多数の美女と主人公は関係していくのか・・・と思いきや、意外とそうでもない。

そう、主人公に酒池肉林や絶倫ストーリーは大して必要性は無い・・・。でもモテる・・・的な。

この辺りは原作者、狩撫麻礼氏のテイストだろう。氏の作品に過剰な女性関係など無粋なのである・・・。

 

主人公有山はジャズバーのピアニストとして働いているわけだが、「ジャズバー」ってホステスなんていない感じなのだが、この作品のジャズバーはホステスだらけである。

令和の現代ではこんな店は成り立たないんだろうな・・・とふと思う。

「ジャズ有り、そして美女あり」なんていうバーは令和の今ではコストがかかりすぎるし、それを受け入れる文化ももはや無い。まして東京以外の地方都市では絶対に無理。

 

そう思うと、80年代の客層は「教養がそれなりにあった」というべきかもしれない。

 

狩撫麻礼氏は非常に「黒人音楽」に造詣が深い。

音楽に詳しいのであればミュージシャン関連の仕事でもすればいいのでは・・・と浅慮してしまうが、彼の場合は「黒人音楽」を「マンガで」表現してしまうのである・・・。

 

とは言っても狩撫麻礼氏は作画しない原作者である。

しかしまー何と言うべきか・・・。「黒人音楽」を「マンガ」という表現メディアに「落とし込む力量と発想」って日本で狩撫麻礼氏をおいて他に無い。しかもそういう作品を一貫して連発しておられる。

意地の悪い言い方をすれば「同じようなテイストばっかり」とも言えるかもしれないが、私はこの「一貫性」を高く評価したい性格である。彼の作品には「非常に嘘みが無い」のである。そんな感じなのだ。

 

「ダリーがおっさんになってマンネリしか受け付けなくなったのではないの?」という向きもあるだろう。

確かにその点はあるが、マンネリは大事なのである。マンネリにこそ観客は納得してしまうのである・・・。

 

主人公有山は預言者「Q」に雇われ、次々と暗殺を実行していくわけだが、有山自身にはまるっきり「動機が無い」状態である。そして「破格の報酬をもらっている」様子も無いのである・・・。

ここまで見ればかなりサイコパスな主人公であるが、テイストが「ハードボイルド」なので余分な説明は不要な乾いた空気感なので違和感なく、進んでいくのだ。

 

暗殺のターゲットは政界の中枢、用心中の要人ばかりである・・・。

まさに主人公は「テロリスト」なのだが、主人公なので「極悪犯人感」なく、進んでしまう。

 

主人公の暗殺成功率はほぼ100%の成功率である。どんな状況でも成功させる。

小型飛行機でフライトしている政界の要人を暗殺するときは、「ヘリで横付け」して普通に銃をぶっ放しているわけだが、その時ばかりは「流石にそれは、バレるだろ・・・」と思ってしまった。まさに完璧な仕事ぶりなのである。

 

主人公の有山、実は傭兵として外国で戦闘経験を積む前は、ピアノの腕は並だったらしい。しかし傭兵時代に数々の「死線」を超えてから、ピアノ表現力がハンパないものになった。

やはり人生の経験という裏付けがジャズピアニストには必要ということか。この辺りは同じく黒人音楽であるブルースもそうなんだろう。

関連記事:

殺人経験豊富=音が分厚い・・・というのも少々今の時代では大っぴらにはできない設定である。

しかしながら、この辺りの「表現の寛容さ」こそ、80年代漫画の醍醐味なのである・・・。

まとめ:狩撫麻礼のライブマシーンは読むに値する。

細かいことは抜きである。

まさにこの漫画は一本の映画であり、ジャズアルバムなのである。

 

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「トリッキーな主人公の、茶目っ気あるカッコ良さ&ハードボイルド」を描ける漫画は令和の時代には望むべくもない。というわけでこのゴクウも必読と言えるだろう。

 

狩撫麻礼の迷走王ボーダーもかなりの長編となるが、男の人生を描き切った作品である。

こちらも是が非でも男の教養として読んでおきたい作品だ。今ならKindle Unlimited対象作品である。

というわけで今回は以上です。

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